Oak Village NOTE

建築ワークショップ 小屋づくり体験 あとがき

オークヴィレッジ木造建築研究所 設計 大家 弘己

近年、オークヴィレッジでは自社の畑の活用に取り組んでおり、ブルーベリーの育成や社員への農地の貸し出しなど、土と触れ合い、そして実りを楽しむことを大切にしています。その活動に伴い、畑の一画に農具小屋が欲しいという要望が社内で出ていました。そんな背景から、今回の建築ワークショップの内容は極めて自然な流れで「参加者の方々と一緒に農具小屋をつくる」に決まったのです。

ただしそれは概要に過ぎません。未だかつて、すべてが順調に始まり、そして終わるというワークショップはありませんでした。ある日の打合せで、こんな意見が出ました。

「柱を立てずに小屋を建てられないか」
「身の回りにある材料を使おう」
「誰でも建てられるものが小屋なのでは」
「大工は他の物件でほとんど手が空かない」
「ヨドコウ物置より安価に」

いつものように各々が自由にアイデアを展開させ、今回も難航することは避けられない…と胸の内で確信しました。そして、「あまり難しく考えないほうがいい」と打合せは締めくくられました。

構法の検討、自然素材の利用、大工の下準備、何より参加者の方々の満足度。数々の荒波を乗り越えて、最終的に「合掌造り」の小屋を建てることとなりました。

合掌造りの茅葺き屋根は、村人たちの助け合いの団体作業で、丸太を加工して組んでいました。

その部分の構造は「又首(さす)構造」と呼ばれ、柱・束などの垂直の支持部材を用いることなく、三角形で自立させるのが特徴です。

今回のワークショップは2日間に渡っての作業となります。1日目は小屋の軸組を組み立て、2日目に屋根・外壁といった外装材で仕上げる計画です。

初日は大雨の予報が出ており、屋根のある建築工房内でのイベント開催となりました。
子供たちは、初めは慣れない金槌の扱いもみるみるうちに上達していき、周囲を驚かせました。大人たちは互いに声を掛け合いながら、初めて顔を合わせる面々が息の合った仕事を進め、見ていて気持ちがいいほどでした。

2日目の朝、天気は良好。
男性を総動員し、建築工房から実際の敷地である畑の一画まで、トラック+人力で運びました。男性陣が小屋を担いでいる様子が小屋というより御神輿(おみこし)のようで、思わず豊作を祈願したくなる光景でした。屋根に使用する板材は、木曽五木のひとつであるネズコ(ヒノキの仲間)です。外壁は、以前のワークショップで作った焼杉を使います。のこぎりで切り、釘で打ちこみ、墨だらけになりました。(入口付近に焼杉を使っているため、出入りの際に服が汚れてしまうという設計上の問題点は伏せておきます。)初日とは打って変わっての屋外作業です。金槌をたたく音が飛び交い、時折肌に感じる涼風が疲れを癒しました。

作業を終え、ワークショップで仕上がった小さな合掌造りを前にすると、肉体労働を最後までやり切ってくれた参加者の方々、材料の加工と当日の作業補助をしてくれた大工、イベントをサポートしてくれた社員に、自然と感謝の念が湧きました。

のちに、結(合掌造りの茅葺屋根の葺き替え作業などを、村全体の人々が相互扶助的に助け合いながら行う風習)と、今回のワークショップのイメージが重なることから、この小屋は小さな結、小結(こゆい)と名付けられました。また、ご来訪の際には、畑の様子と併せて、小結を見にいらしてください。

⼀覧へ戻る