日本の木を素材に、職人が一つひとつ丁寧につくったオークヴィレッジの卓上サイズのクリスマスツリー「オルゴールツリー」。木の実拾いから始まり、その後も木材の乾燥や加工、何千個もあるオーナメントづくりなど1年かけて制作したオルゴールツリーは、まさに森から生まれたツリーといえるでしょう。
今回は、そんな多くの職人の手を介してできあがる「オルゴールツリー」の制作現場の声をお届けします。
- [1] こだわりを詰め込んだ、職人泣かせの構造
- [2] ツリーの良さ(1)かわいらしいカタチ
- [3] ツリーの良さ(2)音にこだわった樹種の選択
- [4] オークヴィレッジならではのミニクリスマスツリー
- [5] 商品情報
こだわりを詰め込んだ、
職人泣かせの構造
オークヴィレッジの工房では、このクリスマスツリーの制作時期が近づくと、現場から「誰だ、こんな面倒くさい構造にしたのは!」という声が聞こえてきます。
スタンダードの葉と幹は、「追入れ組み」と「蟻組み」によって接合されていますが、これが先ほどの面倒くささの所以です。これはインテリア用品としてはかなりなオーバースペックっぷりです。しかも、これがこの商品の売りというわけではありません。「蟻組みだから」という理由で購入される方は極めて少数派かと思われます。
そうなった理由としては、やはり開発段階でのめりこみ過ぎてしまったということでしょうか。いま振り返れば、確かにやりすぎかと思われますが、かといって他の構造を考えろと言われても、我々の考える「まともな組み方」からは少し外れるものになってしまいそうです。
ツリーの良さ(1)
かわいらしいカタチ
「オルゴールツリー」の良さは、なんといっても、そのかわいらしいカタチと音へのこだわりです。
形を考える上で、当時のデザイナーと制作部で、昼夜膝をつき合わせ、寝る間を惜しんで開発に取り込んだことを記憶しております。
「木材」という素材の性質上、いくらデザイナーが望もうとしても物理的、あるいは現実的に不可能な場面が多々ある中、双方が歩み寄って、うまくまとまった形だと自負しております。
例えば、ツリーの葉のパーツ(プチは8個パーツ、スタンダードは16パーツ)を位置をずらして交互に組みこむことで、モミの木の力強く美しい造形を表現しています。
(スタンダードは、前述の木組み技術「追入れ組み」と「蟻組み」を用いています。)
形という点で忘れてはならないのが、ツリーを飾る多彩なオーナメント。その制作は、1年前の秋の木の実拾いから始まります。オークヴィレッジ工房前に広がる森(敷地内)でのヒノキ、スギ、ハン、カラマツの実拾いは、この時期の定例行事です。
木の実に始まり、動物やクリスマスのモチーフの焼印を押した木の円形オーナメントは、すべて一つひとつ丁寧にリボンと針金をつけて完成します。
ツリーの良さ(2)
音にこだわった樹種の選択
そして、オルゴールツリーのもうひとつの魅力は音へのこだわりです。
それぞれのラインナップの印象を表現するならば、スタンダードは”上品”、プチは”元気”といったところでしょうか。
世の中には木を使った様々な音“装置”がありますが、使われている樹種にはそれぞれにこだわりがあるようです。バイオリンであればのトウヒやカエデ、和太鼓の本体はケヤキ等(それだけではないですが)それぞれに適した材料が使われています。
「オルゴールツリー」(スタンダード、プチ共)の鉢の材料もこだわってクルミ材を使っています。初年度はナラ材、一時期別の樹種になった期間がありますが、クルミ材は音が綺麗に響く事がわかり、今のところクルミ材になっています。
オークヴィレッジならではの
ミニクリスマスツリー
このように、ひとつの商品でこれだけ人の手と技術を介するものは、他にもありません。そして、使用している樹種はツリーにはシナ、ニレ、ナラ、トチ、クルミ、木の円形オーナメントにはカエデ、サクラ、エンジュ、ホオ、木の実のオーナメントではヒノキ、スギ、ハン、カラマツと盛りだくさんです(カラマツはスタンダードのみとなります。また、木の実は、自然のものを使用しておりますので、種類が変更になる場合があります。)
これはオークヴィレッジが最も得意とし、他ではなかなかマネのできない分野の仕事ですが、製造という立場から少し欲張りすぎて失敗しているかもしれません。
初めて2004年にスタンダードを発表した当初は、100台限定という形でしたが、大きな反響がありました。女子高生に初めて「かわいい」と言わしめたオークヴィレッジの記念すべき商品?でもあります。あれから各部の改良を重ね、2021年にはガラスのオーナメントや葉の形状を変更(プチのみ)をし、現在に至ります。相変わらず職人泣かせの商品であるということはこの先も変わることはないでしょう。