
シンプルな四角い箱。けれど、その「シンプル」が難しい。
ユニット家具「KOBAKO」は、無駄を削ぎ落とした構造と無垢材の美しさを兼ね備えた、オークヴィレッジならではの収納家具です。
目立たず、主張せず、それでも確かな存在感を持つこの箱をかたちにするために、私たちは素材と技術に向き合い、見えないところにこそ手をかけてきました。
職人の手で一つひとつ丁寧に仕上げられるKOBAKO。その奥にあるモノ造りの現場のことを、少しだけご紹介します。
- [1] シンプルな「箱」に詰め込んだ工夫とは
- [2] 「KOBAKO」シリーズの特長
- [3] 商品情報
シンプルな「箱」に詰め込んだ工夫とは
2003年に生まれた「KOBAKO」は、その名の通り、シンプルな板材で構成された「箱」です。3サイズの箱を自在に組み合わせることで、暮らしの中で多様な収納を実現する家具として提案してきました。
正面から見ると、線だけで構成されたすっきりとしたデザインになっており、複数を組み合わせても空間に圧迫感を与えません。収納されるものを引き立てる存在です。


正面の接合部には45度で留める「留(とめ)組み」を採用しています。箱を積み重ねたときにも接合部が目立たず、美しい納まりを生んでいます。

横から見ると、国産ニレ材の力強い木目が面で現れ、無垢材ならではの表情を楽しむことができます。


無垢材でつくるという選択
一見シンプルな構造ですが、そこには木工のノウハウが詰まっています。実は、巾32センチもの無垢板を安定して接合することは、意外と難しいことなのです。
そもそも、幅広の板を用いた家具は、たいてい無垢材ではありません。板は湿度によって伸び縮みし、反りも出やすいため、安易に組むと不具合の原因になります。
さらに、無垢材を大量に使えば当然ながら重量も増し、日常的な移動や運搬にも不便が出ます。昔から桐材が和服の収納箱に選ばれてきたのも、軽さという理由があったからこそです。
もちろん、だからといって無垢材にこだわる必要はないのかもしれません。ただ、私たちはやはりオークヴィレッジですから、無垢材で何とか形にしたいと考えています。
「時間」という見えない工程
無垢材を扱うには、まず時間が必要です。
KOBAKOの部材には、数枚の板を巾方向で接いだものを使っていますが、加工前には必ず空気と馴染ませ、局所的な歪みが起きないようにする「シーズニング」という工程を経ています。これは機械でどうにかできるものではなく、ただ時間をかけて待つしかありません。 面倒にも思えるこの時間が、製品が何十年後も使われ続けるための土台を築いてくれるのです。
接合部に込めた工夫と独自性
接合には私たちが独自に考案した「留型吸付蟻組接ぎ(とめがたすいつきありぐみつぎ)」を用いています。通常、45度の留組みは強度に不安が残る接合方法ですが、そこに木の動きに追従する工夫を加え、無垢材でも耐久性のある構造を実現しました。

つまり、KOBAKOはただの「箱」ではありません。長年培ってきた木組みの知恵と、今の素材事情を踏まえた工夫の積み重ねによって成り立っているのです。
愚直であることの意味
一見、オーバースペックにも見える仕様かもしれませんが、動きの多い現代の木材を長く使っていくには、やはりこうした地道な木組みが最も適していると、改めて感じています。
技術の世界は革新が起きにくい分、基本を丁寧に、当たり前を当たり前に積み重ねることがますます大切になっているのかもしれません。
「KOBAKO」は、シンプルであるからこそ、奥が深いのです。
「KOBAKO」シリーズの特長



