「いただきます」「木をいただきます」

good design award 2015 受賞
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			 小さなくるみのお皿・細いクルミの木この「くるみのお皿」は、間伐材の細いくるみの木から作られたものです。
「細い木」や「曲がった木」は、全てひとまとめに扱われ、
ほとんどは紙の原料や燃料として粉砕されてしまいます。
その木々の中には、まだまだこれから生長出来る若い木や、
カタチはまっすぐでなくても、とても良質なものも含まれます。
そして、それぞれが40年50年、中には100年かけて
ゆっくりと生長してきたものもあるのです。 
このお皿は、そんな木の中から選ばれてつくられました。
料理人が市場で食材を選ぶのと同じように、森で選んできたものです。
いま、新しい「森のしくみ」への取り組みが始まっています。 それはまた、森で働く人たちのこれからの望みでもあるのです。
Slide background 木材は主に、「針葉樹」と「広葉樹」の2つに分類されます。
「針葉樹」は主に建築の材料となるので、植林など保護が進んできました。
ですが「広葉樹」は、高級な家具などに使われる一方で、
決められたサイズに満たない細い木や曲がった木は「規格外」とされ、
木の種類に関係なくひとまとめにされ、紙の原料や燃料として出荷され、切り刻まれてしまいます。 たとえ細い木でも、40年以上の歳月をかけて育ってきたものです。
中には、まだまだ生長していくものも含まれています。
Slide background ずっと使われる木として そしてどの木材も、森で働く職人さん達が、
命の危険と隣合わせの厳しい環境で、1本1本伐採したものです。
美しい森の中で働く日々の中には、厳しい暑さの日もあれば、激しい雨の日、凍りつく雪の日もあります。
そのような環境の中で伐採した木はどの木も
家具や食器など、使われるものとして誰かの手に届くことが、
森に関わる人々の願いの1つでもあります。
「木」として残っていって欲しいのです。
Slide background はじまっていること 「木の価値」 岐阜県は国内でも有数の、豊かな森林に恵まれた県です。
南西部にある「根尾の森」では、あたらしい取り組みが始まっています。
今までは連携が行われて来なかった、3つの事業者が協力して、
「木の価値」の見直しが始まりました。
Slide1 background 3つの事業者とは、
木を伐採し出荷する 「材料の生産者」
家具屋さんなどが扱える状態に木を整える 「製材・乾燥の業者」
そして家具や日用品に木を加工する 「製品加工販売者」 の3者です。 お料理で例えれば、
「農家さん」「八百屋さん」「レストラン」の関係です。
Slide background 根尾の森へ それぞれの木を選びに まずは、最終的に商品をつくる家具屋さんが、
根尾の森の伐採現場に足を運び「規格外」の木材の中からまだまだ使える木材を選んで行きます。
いままでは、家具屋さんが木を選びに森に入ることは、まず考えられないことでした。
木の生産者である伐採を行う職人さん達に、木の種類や大きさなど、
その木の持つ個性のアドバイスを受けながら吟味します。
この木はお皿に。この木は木馬に。
Slide background 木が森を離れていきます。
これまでこの木を見守って来た、職人さん達の手からも離れていきます。
Slide background 木のコンディションを整える くるみ、さわくるみ、なら、くり、さくら、
根尾の森にはたくさんの種類の木があります。

選ばれた木材は製材乾燥の業者さんへ運びこまれ、
今後商品化されるのに、一番ふさわしい状態に加工されます。
木の表面の皮を剥いだり、切られたばかりで、生きていく為の水分をたっぷり含んだ木材を、ちょうど良い水分の量に調整します。
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木によって、硬いもの、ワイルドな木目のもの、優しい風合いのもの、
個性はさまざまです。
ほどよい状態になって、木が加工工場に運ばれます。
それぞれの木にあった商品へと、職人さんが1つひとつ仕上げていきます。
Slide background 再会、そして終の住処へ 森に木を選びに行った家具の職人さんの元に木は戻り‘くるみのお皿’がつくられます。 そして‘カタチ’を得た根尾の木は、それぞれの家へと旅立っていきます。
森から家に。手から手へ。
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どの工程も、いままでは効率が優先され、同じ種類の、同じような太さの、まっすぐな、木材だけを扱うものでした。
この新しい取り組みでは、1本1本、木の種類も太さも形状も異なるため、その分何倍もの時間も手間もかかります。 今までは、活動を共にするまでにはいたらなかった3者が、
同じ思いを持って、手間を惜しまず、共同でこの取り組みを行うことで、
木に、本来の価値を取り戻す事が出来るようになりました。
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この取り組みで世の中に出て行く木には、
NeoWood-(ネオウッド)と名付けられることになりました。

新しいカタチになった商品には、52,68,83など
数字が刻まれます。
もともとの木の年齢がその数字です。
ちゃんと森に選びに行った木ですから、
何歳の木だったのか、その木に携わる人はわかっているのです。 その木が過ごしてきた歲月を、使う人にも感じて欲しいのです。
そして大切に使い続けて欲しいのです。
Slide background 木と森と、人に想いを ぜひ、家の中にある木で出来たもの
テーブル、椅子、お皿、お箸。
その木がどんな場所でどのように育って来たものなのか、
どんな人がどのように作ってここに辿り着いたものなのか、
思いを巡らせてみて下さい。 どこかの森で、工場で、この木がどこでどんな風に使われるのか、
思いを巡らせながら、手を動かしている人がいます。
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