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Netflix
2021年05月06日 (木)

最近スマートホンを新機種に更新したのですが、ついでにNetflixに加入しました。(Netflix:定額制の映像ストリーミングサービス)

早速Netflixオリジナルの『ヒップホップ エボリューション』と言うドキュメンタリー番組を観ました。

ヒップホップに関する内容の番組で、その創世記から現在に至るまでの系譜を実際のミュージシャンやプロデューサーなどのインタビューを交えながら辿って行きます。

※ヒップホップ

サンプリングや打ち込みのバックトラックに、MCによるラップを乗せた音楽形態を指すが、これらはヒップホップミュージックあるいはラップミュージックと呼ぶのが正しく、ブレイクダンスやグラフィティなどを加えたものが本来のヒップホップである。ヒップホップにおいて、ラップ(MC)、DJプレイ、ブレイクダンス、グラフィティは四大要素と呼ばれる。/Wikipediaより

ラップミュージックが好きであると言うよりかは、リスペクトとしています。何故かと言えばその最初の発想が凄いと思います。

創世は1970年代初頭、アメリカ/ニューヨーク/ブロンクス。

ソウルミュージックのブレイクダウンのパートのみをループさせたい為、ターンテーブルを2つ並べ、そこに同じソウルミュージックのレコードを乗せ、ブレイクダウンパートを片方ずつかけてループさせる。所謂ブレイクビーツの誕生です。/DJクールハークの発明です。

(ずっとグルーヴしていたい、と言う欲求です。)

※ブレイクダウン:楽曲中において、ヴォーカルのパートの無い、楽器のリズムのみの演奏パートのこと。

ここでターンテーブルやターンテーブルを2つ並べる事は、クラブ(当時はディスコ)で再生中の曲のテンポが同期するように調整するテクニックとして、既に存在していました。

曲の終わりに人がダンスフロアを離れないようにするために、曲を繋げるテクニックでした。今でもクラブDJがしている事はこのテクニックですが、グルーヴを途切れさせず飽きさせない、またはアップテンポの連続で疲れさせない為には、選択する曲とダンスフロアを操るセンスが必要となります。

話をブレイクビーツ/DJクールハークの話しに戻して、シームレスな楽曲の1部を2枚のレコードでループさせる、と言う事は、俯瞰すれば楽曲を解体-再構築している、と言う事です。(曲の一部を切り取り並列し、構造化する。その先には事後的な視点からすれば、フロウする事の欲求が暗示されている。)

単純な欲求からの発想でしたが、その後のポップミュージックにおける時代の展開を変えてしまう発想だったと思うのです。(実際にそうですが。)

そのほぼ同時期にグランドマスター・フラッシュがDJクールハークのやった事を洗練させつつ、さらにブレイクビーツにリリックをのせます。(リリックは平たく言うと歌詞ですが、詞に韻やリズムをミックアップスした歌いまわしの事で、このリリックの内容と韻の踏み方-フロウが曲の良し悪しを左右します。ひいてはダンスフロアの盛り上がりを左右します。)

つまりブロックパーティー(1つの街区=ブロックによる、ここでは主に野外の非合法なパーティー。)を盛り上げるための進行役のMCの言葉が、ブレイクビーツにマッチした機知に富んだリリックに進化して行きます。ラップミュージックの誕生です。

その後、SP-1200と言うサンプリングマシン、TR-808と言うドラムマシンによるラップミュージックの作製に移行します。

番組を観ていて、SP-1200によるサンプリング=既存ミュージックの解体の仕方は、圧巻、と言うか、そこまで解体されたらオリジナル音源なんて解らないよ!と言う解体の仕方でした。この、機材を操り⇒曲を解体し⇒ラップの新しいバックトラックを再構成する、と言うプロデューサーは、まさにプロフェッサーです。(ジャンルが異なりますが 坂本龍一がプロフェッサーと呼ばれるのがわかります。)

僕はこのマシンの登場したころのラップミュージックの世代でした。(当然当時は、そんなバックグラウンドなんて露知らず、でしたが。)

アーティストとしては、ア・ドライブ・コールド・クウェスト、NAS、ウータン・クランなどなど…

NASは、今聴いてもゾクゾクします。極限まで音=バックトラックをシンプルにし、ラッパー=MCのリリック、フロウの凄さを引き出している、と思います。(聴いた瞬間は肝心のリリックの内容はわかりませんが、だからこそ楽曲の凄さを客観できる、と思っています。ここに日本人が洋楽を聴く強みがあると思っています。楽曲の生さかげんを実感できると言う事です。勝手な解釈かもしれませんが…)

ラップミュージックはニューヨークで生まれ、ロスに舞台を移します。所謂ギャングスタラップが全盛します。背景としては、人種としてのブラックの生活のありのままを表現する、と言う事でした。(この前段階はグランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイヴ のThe Messageと言う曲にはじまり、パブリック・エネミー等による社会派のラップミュージックです。 )

つまりリリックがハードコアであると。(ある意味非合法な事でもしないととても生活が成り立たない、平たく言えばスラム街での出来事を赤裸々に…といった事で。良いか悪いかは別としてロスの場合はギャングスタの日常をラップにした、と言う事です。)

そこで、色々と紆余曲折がありハードコアの極致に行き着きます。(この当時はロドニー・キング事件、東西海岸ヒップホップ抗争-非常に悲しい事に、才能のあるラップミュージシャンが亡くなります。)

が、やはりその揺り戻しがあり、シリアスばかりより、やっぱりパーティーラップがいいじゃない?と。

けれど、今度は楽曲としてハードコアを求めたい。(つまり非商業的な、楽曲としてウィット富んだ…)いやいや、それもまた、疲れない?ノリが良ければ良くない?と。

と言う様なハードコア⇔ポップ の繰り返しなのですがそこには地域性とその人々の、『人となり』がミックスし大きなウネリになる、と言うのが良くわかるNetflixのオリジナル ドキュメンタリー番組でした。

そう、全米No.1の『全米』の意味が、このラップミュージックキュメンタリーで良くわかりました。アメリカは日本の26倍の国土面積で、例えばLAのあるカリホルニア州は日本の1.1倍の面積だそうです。ちなみにラップミュージック発祥の地ニューヨーク州は東京を中心に重ねあわせると、西は神戸まで、東は新潟や仙台近くまでカバーされるとの事。

ポピュラーミユージックの世界で面積だけで比較すれば、日本No.1は例えばカリホルニア州No.1と同じです。

そこから全米を席巻するのは、ちょっとイメージが持てないくらい凄い事かもしれません。

ラップミュージックはここ4~5年前からアトランタ発のスタイルが席巻し、ガラっとそのリズムとリリックの乗せ方が変わりました。そろそろ次に移行する(新しいスタイルが芽吹いている)とは思いますが、聴いたことのない楽曲、特にリズムがでてくるのは、本当にすごい事だと思っています。それは、決して大げさではなく人類の歴史上、それまで一度も生まれてこなかった代物だから…

都市の創世としては、半ば乱暴なニューヨークですが、ラップミュージックが1970年代に生まれ、1950年代は、ビバップjazzが生まれ、アートの世界も1950年代にヨーロッパからニューヨークにその中心が移りました。

建築家のビッグスターであるレム・コールハースがニューヨークを題材にした『錯乱のニューヨーク』をまた読んでみたい気になったNetflixオリジナル番組でした。

長くなりましたが、ではでは。


藤塚(設計監理)