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オークヴィレッジ青山がオープンしました
2021年02月14日 (日)

既に告知済みですが、オークヴィレッジ青山がオープンしました。

店舗正面より

せっかくの建築事業部のブログなので、設計及び施工管理を担当した自分としては、特に設計コンセプト的な視点から、オークヴィレッジ青山の店舗空間に対して書いてみたいと思います。少々回りくどくなりますが。

既存プラットフォームに異種エレメントや異種システムを挿入してみると、その差異による異種間の相互認識や、新しいジャンルの創設、新旧ジャンルの相克、既存ジャンルに対する別角度からの認識...etc、などが生まれると思うのです。それは確信をもって行おうと、又は事後確認的になろうと。

例えば、ポピュラーミュージックのジャンルでは、

リアルブルースに、アンプリファイ(電子化:ギターで言えばエレキギター)、リズムライン(ドラム、ベースライン)を挿入すれば、B.Bキング、アルバート・キングに代表されるモダン・ブルースに進化し、以降ロック・ミュージック、Jazz、ファンク、サンプリングミュージックに派生、又はミックスアップして行きます。

ここでリアルブルースとは1920年代にアメリカミシシッピー川流域で発生した初期ブルースの事で、所謂デルタブルースです。

このリアルブルースはアンプラグド(電子化されていない楽器による音楽)、ここではアコースティックギターの弾き語りが中心で、リズムラインも今の視点では、はっきりせず素朴の極みですが聴きなれてくると癒されます。

これが今のポピュラーミユージックの始原=プラットフォームと言えるかもしれません。

(アーティストとしては、ロバート・ジョンソン、サン・ハウスなどのブルースマン。)

またアートの世界では、例えばマルセル・デュシャンが示した手法(レディメイド)も、既存プラットフォームに異種システムを挿入し、そのジャンルにおける相克を告発する事を志向した、と思えます。

デュシャン以前までのアートの文脈(プラットフォーム)にはないオブジェクトを、当時のアートプラットフォームに挿入し、『ここまでは芸術の領域、この範疇は非芸術と言う、知らずのうちに定位されていた―立ち現れていたアートの中の距離感を、再定義せざるを得ない状況に追いやった』と言う事でしょうか?

有名な『泉』を例にとりその手立てを見てみると、価値としてはフラットな工業製品-量産品である小便器をセレクトし、その小便器に『泉』と題名をつけ、『R.Mutt』と署名して美術館に展示。

言い換えると創作活動をせず、オブジェクトをセレクションし、作家性を刻印し、それをアートのプラットフォームに挿入した、と言う事です。(実際には展示を拒否されます。)

さらに言い換えると、別のジャンルからのオブジェクト≒主題をサンプリングし、いつの間にか措定され、無意識の前提となっていたアートプラットフォームに挿入する。

ただそれだけの行為で以降に対して、パラダイムシフト的な様相を示してしまいました。(非常に極端な言い方をすれば、美術館に展示できさえすれば、是即ちアート也と、この相克こそがアート也と。)

この様な視点からすると、村上隆の所謂フィギアも、デュシャンと同じ地平の範疇に近しい?なんて思ったりもしますが、いかがでしょうか?

回りくどくなりましたが、オークヴィレッジ青山の店舗空間の話に。

考え方としては、テナントB区画が与えられたプラットフォーム、となります。(デュシャン風に言えば、与えられとせよ、でしょうか?)空間をヴィジュアルとして概略すれば以下画像①―1、①-2。

画像①-1
画像①-2

ある意味フラットでカタヨリが極端に少ない状態といえるかもしれません。

通常であれば店舗デザインとしては床・壁・天井の表層のデザインで処理するのですが、我々木造建築研究所としては、用途や使い勝手に応じたスペース=カタヨリを、木造建築と言うフィールドに立ちながらフラット空間にどう作るか?を考えたいと思いました。

一つの手立てが、木組みフレーム:画像②-1、②-2を色々な諸条件を鑑みてテナントB区画プラットフォームに挿入することです。

画像②-1
画像②-2

すると、画像③-1、③-2になり、フラット空間に陰影が生まれます。

画像③-1
画像③-2

ここでこの木組みフレームは本来の構造力学としての役割は担っておらず(構造力学的立場から躯体を支える役割)、スペースを緩やかに分節―区画する役割をのみ担っているオブジェクトです。

つまり伝統的木造建築からスペースを緩やかに分節―区画する役割をのみをサンプリングし、テナントB区画プラットフォームに挿入したと言うことです。

逆に言えば、伝統的木造木組みフレームは構造力学としての役割と、スペースを緩やかに分節―区画する役割を担っていると言うことです。

もっと端的に言えば、人が空間を認識する手立ては、オブジェクトの関係性によって認識していると言うことです。

私は、~な壁の前に居る。

私は、大きな屋根の下に居る。

私は、鳥居をくぐり~神社を参拝するところだ。

私は、神聖な御柱の前に居る。

私は、大きな樹の下で雨宿りをしている。

etc...

みなオブジェクトとの関係の中で自分の場所を想定しています。

この様な視点に立ちながら色々な意味での大小様々な建築を、建築空間を紐解いてゆくと楽しいと思いますがいかがでしょうか?

ではでは。

藤塚(設計監理)