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木の建築スケッチ2:法隆寺妻室
2017年10月30日 (月)

前回に引き続いて2回目となります「木の建築スケッチ」。

 

勝手に感動し、勝手にお伝えする、超私的なセレクトによるスケッチ集です。
さて今回は飛騨からちょっと離れまして、奈良の建築をご紹介してみたいと思います。
法隆寺、といえばもうみなさんよくご存知ですね。
あの有名な五重の塔を筆頭に、金堂や経蔵、鐘楼に夢殿などなど、錚々たる国宝が建ち並んでいる世界遺産です。どれも素敵なものばかりでいつ訪れても感心するのですが、その中でもとりわけ、私の心を惹きつけてやまない建築があります。
それが今回ご紹介する 「法隆寺妻室(つまむろ)」です。

 

 

「妻室」というのは寺の僧房で、対面に建っている「東室(ひがしむろ)」と対の構成になっています。大きい「東室」には主人の僧が、小さい「妻室」にはその従者たちが住み、もともとはもっと近寄って建っていました。1房、桁行3間×間口2間の小さな僧房がずらっと9室並び、あわせて27間にもなるその姿はちょっと感動的です。多くの国宝級の建築群に比べると一見目立たない建物なんですが、いつ行っても私を立ち止まらせ「美しい」と感じさせてくれます。
では真正面から見てみましょう。

 

 

架構としては非常にシンプルです。いわゆる「組物(斗栱)」を使わずに、プロポーション、材の形状・大きさ・使い方だけで与える印象を決定付けています。このシンプルさがこのような「凛々しさ」と「緊張感」を引き立たせていると私には思えます。平安時代の建物とのことですが、正直、唸ります。ムムッ。

 

中央の棟木をうけている束の両側に部材があるのがわかりますでしょうか。
そっと寄り添うような形、「方杖」といいます。
この方杖、建築中には真ん中の「束」を支えるために設置されていますが、棟木をかけ垂木を組んで架構がかたまった後は、構造上は必要なくなるものです。ですがどうでしょう、これは残されてしかも最終意匠で大活躍しています。もうそのあたりが、私的にはしびれるわけです。建築過程でがんばっているその姿がもうなんだかいじらしいし、美しい。もう勝手にそう思っています。(笑)

 


少し詳細に目を移してみましょう。ここは隅柱付近で、「丸柱」が使われているのがわかります。東室はすべて丸柱ですが、この妻室は室の四隅にだけ丸柱を用いてその他は角柱となっています。そのようなことからか、ここではよりその存在が際立っているように見え、礎石に乗ったその表情からはやわらかさと安心感を感じることができます。

 

 

こちらは内部です。以前からここを見たいと思っているのですが残念ながらまだその機会を得ていません。ですのでさっと資料を参考に書いてみました。窓のない小さな部屋ですが真壁のピリッとした緊張感がみなぎります。そしてここにもあの方杖が・・・。ああ、やはり美しい。私の中では是非とも実物をみたいひとつになっています。

 

建築以外にも玉虫厨子や百済観音など見所多きこの名所。「柿を食う」季節はまだ遠いですが、機会があったらまた訪れてみたいと思っています。

 

 

秋山(設計監理)

-新WEBサイト以前のブログを再掲-

 

木の建築スケッチシリーズはこちら

木の建築スケッチ1:板倉と棚田

木の建築スケッチ2:法隆寺妻室

木の建築スケッチ3:東大寺南大門

木の建築スケッチ10:松本家住宅その1