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家|future perspective
2017年07月01日 (土)

またまた、日本の住宅事情、住宅政策の遍歴を詳しく書いた本があったのでその紹介です!

 

現代日本ハウジング史 1914-2006 住田昌二著

 

紹介文より

マス・ハウジングのプロセスに注目し、第一次世界大戦がはじまる1914年から住生活基本法が施行された2006年頃までの約百年のハウジング・システムについて、いわゆる通史でなく時代の画期をなす事象を取り上げ、史的展開を論述する。

 

長い文章です。悪しからず。

 

前回のブログでは、住宅供給量を確保するのが日本戦後の国家レベルでの課題で、その課題をクリアするための政策が、住宅。

住居のスクラップ&ビルドにスライドして行き、約30年で、その資産価値も住宅そのものもスクラップになってしまう。

だから住宅はストックされず、それが少子化などと相まって住宅市場にミスマッチが生じている、と言う話しをしました。

 

それは、戦後の420万戸の住宅の不足に対応するためで、戦前から引き続いていた住宅難、と言う問題だったそうです。

 

そしてこれは、住宅を大量に供給するマス・ハウジングシステムを確立すると言う、日本に特有の問題ではなく、先進国における全世界的な問題だそうで、田園都市からメトロポリスへ都市化が進めば必ず直面する問題だ、と言う事だそうです。

 

イギリス発の産業革命は、住む、と言う事に視座を置けば、より密集化して流通の拠点に住まうと言う事で...つまり都市に、より密集化して住まうと言う事。

急激に都市化が進むので、そこに住宅問題がフッとたち現れる。住宅を大量に供給する、と言う課題が。(同時にスラム化等の問題も起こり、スラムクリアランスと言う課題も現れる。)

 

つまりマス・ハウジングシステムをいかに実現するか、と言う課題が現れるのです。

 

そして日本のマス・ハウジングシステムは、一世帯一住宅を標榜していたのですが、それが横滑りして、一世代一住宅に。

本来、住居、住宅、棲み家は、世代を超えて住み継いでゆくものなのに、住宅が消耗材のような商品となり、スクラップ&ビルド住宅になってしまった...(ここにおいては日本特有の問題です。)

そのプロセスは?

 

 

郊外、マイホーム、プレファブリケーション、住宅ローン:パッケージング

戦後、戦時中に開発された軍事技術が民需に応用され(半導体技術など)家電電気産業が興隆。その産業は、農村から都市部への地滑り的な人工移動の原因となり、急激なアーバニゼーションが進んでいった。

 

所謂高度経済成長というもので、都市部に移住してきた層の持ち家志向=マイホーム主義がここで生まれる。(棲みかに対して、「my:私の、と言う後ろだてが欲しいと言う事。)

 

また、家電製品は、このマイホーム的な、家族団欒的な雰囲気をオーバードライブさせてゆく。

 

 

急激な都市化は大量の住宅供給を促すので、マス・ハウジングシステムが政策の中で大きな位置を占めて行き、住宅金融公庫法、公営住宅法、日本住宅公団が三本柱となる55体制が確立され、公共セクターを主体にマス・ハウジングが誘導されて行ったと...

 

そんなこんな をしているうちに1980年代。

日本は完全なる経済大国に。

 

機軸通貨を所有する覇権国家アメリカは、ニューヨーク・ホテル・プラザにて、その覇権を維持するために対日圧力を強める。

ドル安の誘導。日本はそれを受け内需拡大にシフトチェンジ。

 

マネーが公庫に流れ、マス・ハウジングは民間セクターに受け継がれる。

 

その民間セクターのマス・ハウジングシステムの流布の仕方は、住宅をカタログ販売できるように、プレファブリケーションを構築する。

 

だが、プレファブリケーションだけでは、技術の向上だけでは、マスな販売は実現できない。どうする?

 

安価な土地取得のできる郊外をターゲットにし、宅地開発。『売り立て』の方法で、マスな販売を確立する。その嚆矢は大和ハウス工業。

 

さらに、住宅ローンの発達を促す。

金銭的に後ろだてのない人でも、銀行から融資を受けられるようにする。

 

銀行の立場に立ち、提携ローン制度を確立。不特定多数のプレファブリケーション住宅購入者に、銀行は融資を行うが、そのセーフティーネットを設け消費者が融資されやすい環境を整備する。こちらもその嚆矢は大和ハウス工業。

つまり、ハウスメーカーが銀行に対して保証を約束する。売り上げに対してのパーセンテージを、保証すると言うやり方で...

安価な郊外の土地 + ハウスメーカーが中間に立つローン制度 + マイホーム志向 + 効率的な、だけど多様性のないプレファブリケーション。

 

これらをパッケージングする販売戦略。

興隆を極めるのは、必至、かなと。

 

個人的には、特にローン制度が、凄いと思う。

金銭的な後ろだてがなければ、ハウスメーカーでローンを組事が誘導される、と言う構図。

凄い販売戦略だ!

 

だけどここに来て、郊外に対してのニーズは極端に少ない。

 

 

都心回帰

1985年のプラザ合意後、内需拡大のマネーは供給過剰で破綻、所謂バブル崩壊。

それでも、いや、だからこそ景気対策としてやっぱり住宅政策に頼る。郊外の、ニーズは見込めないから、都心回帰を政策として促す。

 

容積率の緩和を連発して、都心部にタワーマンションの建設を可能にする。特に駅前に。

基準階を少しカスタマイゼーションして、間取りの多様性を演出。究極のマス・ハウジングシステム?

 

だから、東京23区とその周辺は、駅前タワーマンションの連発だ。

 

さらに、~コンセルジュなるシステムを設け、ホテルライク化、究極のサービスシステム。

利便性と心地よいサービスだけに目をやれば、売れない理由は見当たらない。

 

今、東京23区とその周辺の住宅事情はそんな状況。棲み継がれる家、を提供する側としては、このような状況を如何に処す?

なんて事を、ここ最近、思うのです...

 

ではでは。

 

藤塚 (設計監理)

 

 

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