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住宅政策とライフ&ステージ
2017年05月12日 (金)

たまには建築に絡んだ真面目なブログを発信。
と言う事で…

真面目と言うよりか、ある書籍に寄り添った事実の羅列です。

STOCK & RENOVATION 2014
LIFULL HOME’S総研 著

 


インターネットからダウンロードできるフリー書籍で、日本の住宅事情の遍歴、系譜、問題点を社会-経済構造、住宅政策の変換等から紐解き、今後の住宅市場、不動産市場に関する成長可能性等をまとめた書。

http://www.homes.co.jp/souken/report/201406/

 

はっきり言ってまともに販売したら5,000円~6,000円。
いや、20,000円しても良いかも!って書籍です!僕なら当然購入します!
(amazon で検索かけてもこの様な書籍は引っ掛からないです。)

 

今回はこの書籍を中心にブログを書きたいと思います。

 

ざっとかいつまんで、戦後日本住宅政策の系譜

1955年度~(昭和30年度):『住宅建設十箇年計画』
1966年度~(昭和41年度):『住宅建設五箇年計画』:5年を1期とし8期続いた。2005年(平成17年)終了。

その後は新たな住宅政策として住宅生活基本法が施行される。

※わりと最近まで住宅供給量を確保する政策が続いていたという事に驚きだ。

それは、住宅そのものの量の確保(大量供給)を目的とし、そこから住宅の質を確保することに移行する。(2005年までこの政策は実施され、2006年から『住宅生活基本法』が施行される。)

が、それは、新築住宅の建設促進を目指すもので、既存住宅(中古物件)の流通を目的とする政策に移行したとは言え、十分な施策とは言えなっかたらしい。

では何故既存住宅の流通が必要か?と。

 

-スクラップ&ビルド、少子化-

 

スクラップ&ビルド
戦後から、2005年までの住宅政策は、住宅の大量供給が目的であるとともに国の経済政策の主軸のうちの一つ。

 

だから経済がフローするには、新築住宅がフローしなくては成り立たない、と言う構図だ。
つまり、住宅をスクラップ&ビルドする事による経済的なフローの確保。

 

(なるべく短い期間で新築住宅がフローすればありがたい と言う視点。とは言え、一般的なサラリーマンの生涯労働の期間は無視できず、それを根拠とする。その期間はほぼほぼ30年。
だから、30年でスクラップ→ビルド、と言う流れを演出。そのような流れの上に今の住宅事情が在る。)

 

話を戻して。スクラップ&ビルド政策には、経済的な正統性は存在するの?と。

 

欧米をロールモデルとすれば、そんな事はないかもしれない。
住宅投資に占めるリフォームの割合の国際比較:国交省

http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h22/hakusho/h23/html/k2412000.html

 

 

※リンクページの図表II-4-1-4 『既存住宅流通シェアの国際比較』を見てみると、
流通総住宅数に対する既存住宅流通数は
日本13.5%、アメリカ80.7%、英国72.8%、フランス74.9%

 

日本は新築物件の割合がダントツで多い。
だから、個々のライフステージに合わせた、ステップアップする選択肢がないのだ。
(新築物件は、いずれにせよ中古物件だから中古物件がフローしないのは=新築したら、選択肢が極端に少ない≒無い、と言う事と同義。)

 

それは『ライフ&ステージ』と言う視点がないのと同じかもしれない。

 

そのスクラップ&ビルドの期間(新築してから取り壊す期間)は、30年平均。
30年で住宅の資産価値が0になる。

 

つまり、
新築住宅≒資産価値0≒負債=国家の総体的経済損失。
政府の思惑とは相当ズレた結果と相成る。

 

それは、当然数字として現れ、国家の経済損失として現れる。
戦後住宅政策の開始から終了までで、累積500兆円の経済損失、と言う試算だそうだ。
いまの国の負債の約半分。なんと言う事!!

 

少子化
少子化がそのねじれた経済構造に追い討ちをかける。既存物件=ストック、と人口動態は比例せず、既存物件過剰の様相を呈して来ている。

つまり、スクラップ&ビルドに根拠をえた経済政策は頭打ちで、ストック=既存物件をいかにフローさせるか?が重要課題にスライドする。

 

中古住宅・リフォームトータルプラン
2012年3月―国交省
そんな巷の現状を把握し、国交省は中古住宅・リフォームトータルプランをとりまとめる。

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000040.html

 

スクラップ&ビルドによる、30年で資産価値が枯渇する住宅政策はとりやめて、リフォームすると言う視点で、住宅の資産価値を維持する環境を整備、同時にその資産価値を評価する基準も整備する。

 

その結果の中古住宅の流通を目的とし、それによる経済フローを確保する事を目指す、と言う所信表明。
(ここで、僕はファイナンスに関しては門外漢、なので悪しからず。)

 

と、日本の住宅市場はリノベーションにシフトチェンジしてきているわけです。

 

だからと言って新築物件市場が無くなるわけでもなく、むしろ逆に新築物件の在り方が問われるのかな?と。(シェアはもちろん厳しくなって行くのでしょうけど。)

 

今までは建ててお仕舞い(もちろんアフターメンテナンスはします。そう言う意味でのお仕舞いではなくて。)だったのが、新築後10年、20年、30年後、いやもっと。
その住宅の資産価値を、新築時にパッケージングしてプロモーションする事が、これからは求められかもしれないし。
(資産運用の指針を新築の段階でプロモーションする≒ライフ&ステージの見取り図をプロモーションする。難しそうです。職能の分野横断と言う事なので。設計士が、デザイナーが、ファイナンス、不動産の分野までをも横断する。)
ここで唐突に、オークヴィレッジを振り返る。

 

日本の古民家、オークヴィレッジ
色々と、今まで書いてきた子面倒くさい事は別として、日本の古民家は今のそんな現状なんてどこふく風で、その存在を維持している。

 

そして、オークヴィレッジの建築は、さらにそこに息吹きを吹き込める技術と設計思想があり、なおかつ、その伝統木造技術を踏襲しつつ、それを乗り越えている。
(伝統技術にモダン建築的視点、モダンデザイン的視点、そしてモダンライフを加味したオリジナリティ。伝統に対して距離を創る術、が在ると言う事。)
今まで書いてきたスクラップ&ビルド住宅とは、全くもって、一線を画すのです。

 

だから、今、廻りを見渡せば、オークヴィレッジはアドバンテージのある立ち位置に在るわけだと思うのです。
なんて事を… 今日この頃。
ではでは。

 

藤塚 (設計監理)